言の葉を着こなせるか?
あたらしいイベントに関わることになった。こんなクソ忙しい時によりによって、自分をクソ追い詰めるようなことを…、と思うのだが、クソ仕方ない。それが僕のクソやりたいことだったからだ。クソっ!


仕事面では今の会社に入って以来、僕の役割の中でもっとも責任の重たい企画が動き出している。そして、初の出産。これは人生の一大事だ。僕が産むわけじゃないので妊婦体操はしなくていいんだけれど、なにかと大変だ。いや、きっとものすごく大変なんだろう。


でも、息子よ、パパを許せ。パパは正直に生きると決めたのだ。欲しいものは欲しいとお前と一緒にじたばたしながらグズるのだ。わっはっは。


でね、その企画というのが「詩人類T-shouts!」というのです。


言葉を生業とする人々が作るファッションブランド。なんだかわからないでしょ?簡単に言うと…簡単には言えません。言葉を使う人々がイベントを通じ、ただ、言葉を提供するのではなく、ファッションを通じて、新たな言葉との関係性、言葉の文化を発信しようというもの。


これね、実は僕がずっとしたかったこと。僕は東京に来る前は大学やファッション関係の専門学校で文化論の講師をしていた。テーマは「身体―言語」。いつも身体と言葉の関わりを軸に作品を考えていた。5年前に一度、言葉を使ったTシャツのブランドを立ち上げようとしたが、色々な理由で頓挫してしまった。


出会いというものは面白いね。


どこでどうつながるかわからないものです。まさに、鴨ネギなき企画を古くから付き合いのある桑原滝弥という詩人が持ちかけてきてくれた。彼は僕が「RADIO DAYS」を結成し、地方に巡業し始めた頃に知り合った。スタイルは全く違うものの、活動的な彼をみていると、なんだか、嬉しくなった。一緒に戦っている心強い仲間のような気がしたからだ。


「言の葉を着こなせ。」


これは桑原氏が考えた「詩人類T-shouts!」のとっても素敵なキャッチ。僕はこれをきいてすごく驚き嬉しくなりました。僕が5年前にしようとした言葉のTシャツのキャッチが「Dress ths word」だったからです。「言の葉を着こなせ。」のまったく直訳です。これには運命みたいなものを感じました。


ファッションというのは言葉を着ることだと思います。それは衣服だけではなく、文化とは言葉を纏うことなのです。本来、衣服は暖をとるためなどの利便性でいうと、それ以上の価値がそこに生まれるはずはないのです。しかし、人はそこに、それ以上の意味を持たせる。


日本語、英語、中国語、言語に色々とあるように、ファッションにも色々とある。言葉は方言や年齢層、文化層によって話す言葉が違う。ファッションにも流行があり、職業や年齢で違いがある。


服を見るとその人がどのような人かだいたい分かる。


誰にでも服で人を判断した経験があるはずだ。でも、不思議なことに、誰も、その服を着ろと言われて着ているわけではないのに、服に無頓着を装っているはずなのに、気が付くと、オタク系の人はオタク系のファッションで身を固めているし、赤坂OLは赤坂OLなスタイルになってゆく。


でも、言葉を装うことに意識的になれる人がどれだけいるだろうか?


本当に多くの人が、服の身だしなみについては考えるのに、言葉の身だしなみについては無頓着なんじゃないでしょうか?


言葉に着られているということが案外あると思う。でも、言葉をオシャレに着こなすなんてことも考えてもいいんじゃないかしら。こんなに情報が溢れている社会だからこそ。


情報化社会では、一人の人はひとつの情報に過ぎないと言われる。パソコンを解体すると出てくる電子基盤。あれをひとつの街と仮定してみよう。すると一人の人はそこを行き来する電気信号なのだ。つまり我々自身が、ひとつの信号なのだ。


Tシャツは極めて現代的で特殊な衣服だと思う。衣服の中にメッセージとして言葉を使い始めたのはいつからだろうか。おそらく、その歴史はかなり浅い。その歴史はまさしく、Tシャツとともに発展してきた。プリントの技術が向上し、それを制御するパソコンも進歩する。まさに情報技術の進化とともに、Tシャツが進化したのではないかというのが僕の仮説。


Tシャツを着ることで、我々は情報になりきることができる。まさにメッセージそのものになれるのだ。それは衣服の究極の形。ファッションは言葉。そして、身体が直接言葉を着る時代になった。本はもう古い。PCももう古い。これからは自分自身がアトムという情報になりきる時代だ。


「脱ニート宣言。わたしに素敵な仕事をください!」みたいにね。求人を主張してみたり。


これからは自分のメッセージをTシャツに込めることにもきっと抵抗がなくなってくるだろう。繊維に編みこむことができる特殊な液晶モニターに自分のお気に入りの写真やメッセージを表示させる時代もいずれやってくるに違いない。


Tシャツはこれからの時代の高度なコミュニケーションツールなのね
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by t-shouts | 2006-08-07 02:46 | 詩人類-里宗巧麻
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